
箱根八里と富士山お中道を通じて江戸文化に触れる
トレッキングツアー 2日間
2022.10.14(金)— 10.16(日)
富士箱根伊豆国立公園
2022.10.14(金)— 10.16(日)
富士箱根伊豆国立公園
このツアーで
体験できること
名峰・富士山とその山麓、東西交通の要衝となった箱根、火山活動や地殻変動による多様な景観をもつ伊豆半島・伊豆諸島を包括する富士箱根伊豆国立公園。
今回は江戸時代から経済の大動脈として栄えた旧東海道であり、長年に渡りさまざまな旅人が訪れ歩いてきた箱根八里と、古代から神体山として崇められていた富士山の文化に触れながら、当時の人と自然の関りや旅人が馳せた自然へのまなざしを追体験する1泊2日の旅。
ツアースケジュールの目安
ツアーのダイジェスト
当日の服装
朝から太陽に恵まれ、活動中は薄手の長袖や半袖で十分な気持ちの良い気温。夕方以降は風が冷たく、ウインドジャケットなどが必要で、日中との寒暖差が大きい1日であった。
改札を出た先で参加者同士の顔合わせを済ませ、専用のバスに乗り込む。バスの中では今回の旅をガイドしてくださる金子さんから箱根のことや旅の行程を聞きながら、期待に胸をふくらませ最初の目的地である箱根八里の須雲川探勝路へと向かった。
バスを降り、軽くストレッチ。いよいよ旧街道である箱根八里・須雲川自然探勝路を歩き始める。
「みなさん、この漢字読めますか?」と金子さんが探勝路入口にある石の標柱を指した。「女轉シ坂」と書いてあるが何と読むのか分からない。「おんなころがしざかと読みます。石畳が整備される前は足が膝まで埋もれるほどの泥道で、女性は特に歩きにくく、よく転んでしまっていたそうです。」この先どんな道が待っているのか、どきどきしながら歩き始めた。
箱根路は古来より東西交通の難所であり、人々の交流に大きな障壁であった。また箱根路は各時代の移り変わりと共に変化しているとのこと。
本日は木漏れ日が気持ちの良い箱根八里。江戸時代にこの路を切り開き、往来した人々に思いを寄せながら歩いていく。
箱根八里の石畳は排水技術も長けており、現代の土木技術にも活かされているそう。一部は江戸時代からのものが残っており、石の表面がつるつるしているのも古来より多くの人に使われてきた証。足元に注意しながら一歩一歩軌跡を辿っていく。
箱根八里の間にある畑宿に到着。旅人にとっては休憩や宿をとる場所であったそうで、ほっと一息つけるそんな街並みだ。畑宿は箱根寄木細工の職人も多く、金指勝悦記念館に立寄ると目を見張る作品が並べられている。金指勝悦さんの技法は「無垢」と呼ばれ、木を寄せ合わせたものを削り1つの作品をつくりあげる技法。
「かばんもあるんですよ。」寄木細工の細やかな技法と模様の美しさについつい見入ってしまう。
お昼は1970年創業の「そば処 桔梗屋」にお邪魔した。囲炉裏のある素敵な店内に入ると2代目店主の鈴木さんが優しく迎えてくれた。今回はざるとろそばを注文。冷たいお蕎麦と食べ応えのあるとろろ、お出汁の効いたそばつゆが体に染み渡る。

猿滑坂や追込坂をとおる七曲りと呼ばれる道を歩いていく。途中休憩をしながら金子さんが雲助について解説してくれた。雲助というのは江戸時代に人や荷物の運搬をしていた人たちで、力が強いこと・荷造りがうまいこと・歌を歌うのがうまいこと、の3条件をクリアしないといけないらしい。金子さんが見せてくれた写真に写る雲助は筋骨隆々で、妙に納得してしまった。
追込坂を抜け、少し歩いた先に甘酒の文字が見えた。江戸からつづく甘酒茶屋は茅葺屋根のどこか落ち着くたたずまい。「ようこそいらっしゃいました。」13代目の山本さんが笑顔で出迎えてくれた。「ここの甘酒は追込坂が最後の隠し味なんです。どんぐりほどの涙を流しながら登ったからこそ、より美味しく感じていただけると思います。」その言葉どおり温かい甘酒はとても美味しく、優しい甘さが疲れを癒してくれる。
付け合わせのふきのとうも絶品。
山本さんから道中安全のお守りをいただいた。箱根はあちこちでこうしたおもてなしの心を感じることができる。
石畳の道を木漏れ日のなかゆっくり歩いていくと、芦ノ湖へとたどり着いた。
ぱっと開けた芦ノ湖に心地よさを感じながら、いよいよ終点の恩賜箱根公園へと向かう。公園までは杉並木が続いており、大木の杉を仰ぎながら歩いていく。終点の恩賜箱根公園につくと、それぞれが一息をついた。約7kmの旅路の後、宿につくと綺麗な富士山が待っていてくれた。

当日の服装
朝は肌寒かったが日中は日差しも強く、麓は半袖で行動できる気温であった。富士山五合目は風が冷たかったが行動中は薄めのウインドジャケットで問題なく、ウェアは調整しながらの1日であった。
古代、人々は山麓から祈りを捧げていたそうで、この遠くから拝む行為を遥拝という。
この日は富士登山道の入口でもある北口本宮富士浅間神社での遥拝から始まった。
参道を歩くと大鳥居の前に川が流れており、透き通っていて触るととても冷たく、まだ雪を被っている富士山を思い出しその自然の豊かさを感じた。何事もなく登拝できますようにと祈り、神社をあとにした。

次に向かったのは紅葉台。トレッキングの先に360度のパノラマが待っているのだそう。途中フタリシズカやマムシグサを見つけ、季節を楽しみながら登っていく。
道のすぐ向こうには青木ヶ原樹海が広がっていた。「樹海は溶岩の上に広がっているんですよ。」とガイドの金子さん。登山道から見える富士山は遠く、噴火の規模が想像できる。
紅葉台につくとご褒美のようなパノラマが待っていた。青空を背に存在感の大きい富士山と広大な裾野に広がる樹海、遠くには南アルプスが見える。「森林限界がきれいに見えますね。これからあの境界に行きますよ。」金子さんが指さす方を見ると、きれいに森林と山肌の境が見えていた。
富士スバルライン五合目は標高約2,300mにある富士山へのゲートウェイの1つである。
昼食後、高度に少し体をなじませながら「お中道」のトレッキングがスタート。お中道は富士山五合目付近の山腹を1周するルートで、1周巡ることをお中道巡りという。お中道巡りは富士講と呼ばれる江戸時代から盛んになった民衆の信仰登山における修行のひとつとして行われ、富士山を3回以上登頂した者以外は踏み入れることのできない特別な道であったそう。
太陽に照らされる苔を楽しみながら歩いた先で森林限界を超える地点にたどり着くと、見上げた先に富士山の山頂が見えた。紅葉台でも遠く感じたのに、遥か空に近く見える山頂はとても遠く、富士山の大きさを体感する。麓には雲海が広がり、さらに奥には南アルプスや八ヶ岳が見える素晴らしい風景を堪能しながら歩みを進めていく。
「麓では散っているシャクナゲの花は、ここでは7月下旬ころに咲くそうです。」山麓とは全く違う環境に驚くことばかりだ。
元々難所もあったお中道であるが、現在はルートの危険が増したことで一部の区間のみ開通となっている

お中道を奥庭まで歩いたあと、最後に富士山世界遺産センターへと立ち寄った。ここでは富士山を取り巻く文化や人と自然との関わりなどについて展示と映像で紹介をしている。
今回の旅は計12~13kmのトレッキングのなかで、金子さんのガイドのもと地域の歴史や文化にふれながら、自然と人との身近な関わりを感じることができた。昔から歩かれてきた道が今なお大切に残され多くの人が歩き続けている、この文化がこれからも続くことを願わずにはいられない。また、箱根に住む人たちとの出会いやおもてなしの心に触れ、心温まる旅となった。